2014年2月24日月曜日

ふかひれ

ふかひれ(鱶鰭)は、大型のサメのひれ(主に尾びれや背びれ部分)を乾燥させた中華料理の食材である。

[概要]
中国でフカヒレが食べられだしたのは明の時代と言われている。潮州料理など、中華料理の高級食材として利用される。解れたものフカヒレをスープの具として使う料理や、ヒレの形のままじっくりと煮込む料理がある。ジンベエザメ、ウバザメのものが最も高級とされ、アオザメ、イタチザメなどのものも高級である。一般的には、ヨシキリザメのものが使用されることが多い。

日本は世界有数のふかひれ生産国であり、江戸時代にはナマコ、アワビと共に中国(明、清)へ輸出されていたが、近年ではシンガポールやインドネシアの生産量の方が高い。日本では気仙沼の水揚げが最も多いが、この多くはマグロ延縄漁業の際に釣れたサメからとられたものである。日本の気仙沼産が有名で且つ高級品として扱われるのは、加工技術が優れているためと言われる。日本は世界有数のふかひれ生産国ではあるが、最近では日本の漁船に従事する人にはフィリピン人やインドネシア人等が多くなり、彼らの国にも日本漁船が寄航する機会が増えた。この時に漁に従事したフィリピン人やインドネシア人が、フカヒレを持って下船する例が増えたために日本国内へ持ち帰られるフカヒレは以前よりかなり減ったと言われている。

[調理法]
調理する際は、乾燥したフカヒレをまずネギやショウガとともに茹で、さらに蒸した上で皮を剥き、水にさらす。このように下処理をしてから上手に煮込むと臭みが消え、軟骨魚特有の柔らかなゼラチン質の食感が楽しめる珍味となる。

[人工ふかひれ]
数百円程度の廉価で販売されている「ふかひれ」は、エイのヒレで代用したものや、春雨や湯葉を使って本物に似せた「人工ふかひれ」である。本場中国を謳う料理店の出す「姿煮」にも人工ふかひれが使用されているケースがある。
中国・山東省では、工業用にかわをホルムアルデヒドで浸した偽ふかひれが摘発されたことがある。

サメの乱獲によるふかひれの供給不足や中国におけるふかひれの需要の増加などのため、天然ふかひれは価格が高騰しており、人工ふかひれの需要が日本でも本場中国でも高まっている。日本では豚のゼラチンなどを原料とした天然物に味や食感が非常に近い人工ふかひれの製造販売も行なわれている。

2014年2月23日日曜日

棒棒鶏

棒棒鶏(バンバンジー)は、蒸し鶏に芝麻醤などゴマのソースをかけた四川料理である。

[概要]
焼いた鶏肉を棒で叩き柔らかくしたことから、「棒」の漢字が使われたと言われている。元々の作り方では鶏肉を手で細かく裂いていた。包丁で切り分ける料理法もある。
中国では鶏肉のみで他の具を加えないのが一般的である。味付けも四川料理らしく唐辛子の辛味を利かせた料理である。
日本では一般的に辛い料理でないことが多い。クラゲやキュウリなど具を加えることもある。これは麻婆豆腐や海老チリと同じように、陳建民が日本人向けに紹介した辛くないレシピが広まったものである。


2014年2月22日土曜日

炒飯

チャーハン(炒飯)は白飯を様々な具と共に油で炒めた中華料理。英語ではFried riceと言う。

[概要]
チャーハンは、炊きあがった白飯を様々な具と共に油で炒めた料理。日本以外のアジアでは揚州炒飯や福建炒飯が有名である。生米を炒めてから煮るパエリアや炒めた生米を炊くピラフが存在するが、それらとの混同も見られる。
次のように呼ぶ日本の地域もある: 焼飯(やきめし)、炒飯(いりめし)、炒めご飯(いためごはん)。また類似の料理は東アジアと東南アジアで広く見受けられ、例を挙げれば韓国ではポックムパプ、北朝鮮ではギルムバプ、タイ王国ではカーオパット、インドネシアとマレーシアではナシゴレン、ベトナムではコムチェン として定着している。中国語の音表記はチャオファンに近い。
家庭料理ともされており、また加熱するだけで調理が完了する冷凍食品・インスタント食品など、幅広い製品が出回っている。自動炊飯器(ご飯の保温も兼ねる)普及以前から、冷めてしまった残りご飯の利用法としても用いられる。

日本の中華料理屋および各家庭では、箸ではなく中国スタイルでレンゲもしくはスプーンを用いて食される。

[材料]
基本的に、米飯・卵・食用油・調味料を用いる。
そのほかの食材として、ハム、ベーコン等の肉類、エビやカニなどの海産物、ネギやグリーンピースなどの野菜が使用される。
タイのパイナップル入り炒飯、「カーオ・パット・サッパロット」のように、果物を入れる場合もある。
べたつかないためには、水分の少ない米飯を使用する。インディカ米はこれに適していると言われる。

炒め油は、店で多く使用されるものはラードだが、家庭では植物油の使用頻度が高い。

2014年2月20日木曜日

小籠包

小籠包(しょうろんぽう、上海語: ショーロンポー、普通話: シァオロンパオ)は、中華圏で食べられている中華料理の点心の一種。小籠湯包あるいは小籠包子とも呼ばれる。
小籠包は豚の挽肉を薄い小麦粉の皮で包んで蒸籠蒸しした包子である。特徴として薄皮の中に具と共に熱いスープが包まれている。上海が起源と言われており、一説には上海市の西北にある町、南翔で発祥したとされる。

[概要]
一説によれば小籠包の起源は1871年に中国の嘉定県南翔鎮(現・上海市嘉定区南翔鎮)の菓子屋「古猗園」の店主黄明賢が売り出した「南翔大肉饅頭」にあるといわれている。南翔大肉饅頭は好評を博したため同業者からすぐに真似された。その後工夫を凝らして具を大きく皮を薄くし、簡単に真似ができないよう技術的な改良を加えた「古猗園南翔小籠」を販売し、たちまち有名な饅頭としてもてはやされた。当初より現在まで「南翔小籠包」と呼ばれ、これが今日の「小籠包」という名称となっている。「古猗園」店主黄明賢の弟子である呉翔升が1900年に開店した老舗「長興樓」(のちに「南翔饅頭店」に改名)が1920年ごろに売り出したところ、上海で人気を呼び、現在は上海の名物点心となっている。
この説は南翔饅頭店の観光案内などに使用されるもので、歴史的資料に基づかない同店舗の宣伝の可能性がある。

[特徴]
大きさは一般的な肉まん(肉包子)と比べてかなり小ぶりで直径は約3センチメートル程度。大きさからいえば焼売に近い。皮は小麦粉を半ば発酵させ、よくこねたものを円形に薄く延ばし広げて作る。特徴のスープは元々のレシピでは豚皮を煮込んで冷やした肉皮凍という煮こごり(ゼラチン)を豚の挽肉に混ぜ込むが、現在は鶏のゼラチンを用いたり、中には豚皮・牛骨・鮫の軟骨を加水分解で工業的に加工して作った食品用ゼラチンを用いるものもある。このゼラチンが蒸籠の高温で蒸され、溶けてスープとなる。
熱々の肉汁(スープ)を含んだジューシーな味わいがその最大の特徴となっている。したがって、冷めたものではその特徴を味わえず、蒸したてを火傷しないよう気をつけながら、箸でつまみ、レンゲでスープをこぼさないようにして味わう。
通常は、薄い皮の折ひだを14以上作り、具を包む。具には白菜や、シイタケ、クログワイなどの野菜類やキノコ、エビやフカヒレなどを少量混ぜた豚の挽肉を入れる。豚肉には皮や皮下脂肪の部分も混ぜ、ゼラチン分が含まれるようにする。この他、上海で名物となっている上海蟹の身を入れた蟹肉小籠や、雌の内子を入れた蟹黄小籠もあり、高級品として特に珍重され、また蟹を捌(さば)く職人の名人芸は、上海観光の楽しみのひとつにもなっている。

たれは酢(鎮江香醋、いわゆる日本でいう黒酢)だけか、これに醤油を混ぜたものを用い、これに千切りにしたしょうがを混ぜる。日本の焼き餃子のようにラー油を使うことは中国ではまれである。すでに味付けされ、たれが不要のものもある。

2014年2月19日水曜日

皮蛋

皮蛋(ピータン)は、アヒルの卵を強いアルカリ性の条件で熟成させて製造する中国の食品。鶏卵やウズラの卵などでつくられる場合もある。高級品には白身の表面にアミノ酸の結晶による松の枝のような紋様がつくことから、松花蛋と呼ぶ(「花」は“紋様”を意味し、全体として「松の紋様の卵」の意)。

[食べ方]
皮蛋は、アンモニアや硫化水素を含む独特の匂いと刺激的な味を持つ。なお食べる時は殻についた粘土や籾殻などを洗い落としてから殻を剥いて食べる。できればスライスしてしばらく空気にさらし、匂いが減ったころに食べるとよい。
黄身が半熟状で匂いの弱い溏心皮蛋と黄身が硬く保存性の高い硬心皮蛋の二種類に大別される。一般的には匂いが弱く、味も良い溏心皮蛋の方が好まれる傾向にある。

前菜として、そのまま食べるだけではなく、食材として、皮蛋豆腐や皮蛋粥といった中華料理に使われることも多い。また、さくさくしたパイ生地で餡と皮蛋を包んだ皮蛋酥など、菓子の具としても使われることがある。

[製造法]
記録によると、明代初期にアヒルの卵を灰の中に埋めて忘れてしまい、二ヵ月後に発見された卵が熟成していたことから偶然に製法が発見されたとある。石灰や木炭を混ぜた粘土を卵殻に塗りつけ、さらにその上から籾殻をまぶした物を、土中ないし甕の中にいれ、2~3ヶ月程冷暗所に貯蔵する。殻の表面に塗りつけた石灰などのアルカリ成分が徐々に殻の内部に浸透し、卵の成分がタンパク変性を起こして固化する。白身部分は黒色のゼリー状、黄身部分は翡翠色になる。
ピータンは製造過程で蛋白の凝固を促進するため「黄丹粉」と呼ばれる一酸化鉛の化合物を使用する。1971年に台湾大学の劉伯文教授がピータンには人体に有害な鉛成分が含まれるとの研究結果を発表し、以来黄丹粉を使用しない「無鉛ピータン」と銘打った製品が流通するようになった。だが別種の鉛化合物が使用される場合があるなど、ピータンの食べ過ぎは鉛中毒の危険があり注意が必要である。

2014年2月18日火曜日

北京ダック

北京ダック(ペキンダック。北京烤鴨、ベイジンカオヤー)は、下処理したアヒルを丸ごと炉で焼く料理。北京料理の代表料理のひとつ。香港では「北京填鴨、パッケンティンアーッ」、台湾では「北平烤鴨、ペイピンカオヤー」とも呼ばれる。

[概要]
炉(窯)の中でパリパリに焼いたアヒルの皮を削ぎ切りにし、小麦粉を焼いて作った「薄餅」(バオビン)または「荷葉餅」(ホーイエビン)と呼ばれる皮に、ネギ、キュウリや甜麺醤と共に包んで食べる料理である。皮だけを薄く削ぐ店と、ある程度肉も付けて切る店がある。

北京市内の専門店では、「一匹」「半匹」といった単位で北京ダックを注文し、併せて前菜、スープ、揚げ物などのアヒル料理をメニューの中から選ぶ。コース料理の場合は、残った肉の部位は肉料理に加工して食べる。骨のがらは白濁した「鴨湯」(ヤータン)と呼ばれるスープを作るのに用い、アヒルの舌が鴨湯の具材にされることもある。通常は皮、肉、骨の三点セットだが、水かき(鴨掌、ヤージャン)は茹でて辛子和えにし、肝臓は素揚げにして供される。このように、無駄なくアヒルの様々な部位を使用した料理のフルコースを「全鴨席」(チュアンヤーシー)という。

[歴史]
中国においてはアヒルを直火で焼いた料理を烤鴨(カオヤー)、焼鴨(シャオヤー)という。烤鴨の歴史は北宋時代にまで遡り、明代の小説『金瓶梅』にはしばしば焼鴨の名前が登場する。烤鴨の起源について、殷の宰相伊尹が湯王に献上した白鳥の炙り焼きを烤鴨の元とする俗説が存在する。
15世紀に明の永楽帝がアヒル料理の盛んな南京から北京に遷都した際に原型となる「叉焼烤鴨」が伝えられ、宮廷料理に採用された。このため、南京の別称である「金陵」を冠した「金陵叉焼鴨」とも呼ばれた。また、山東発祥説も存在する。
金陵叉焼鴨は固いアヒルの肉を柔らかくするために一度下煮をし、その後肉に大きなさすまた(大叉)を刺して少しの時間火で炙る料理であり、現在の北京ダックとは様子が異なっていた。金陵叉焼鴨が北京に伝えられた時、香ばしさと肉の柔らかさを追及するため、調理法に北方遊牧民の食文化の特色である「炙り焼き」の技術が加えられる。

現在は、中国に限らず、香港、台湾、シンガポール、マレーシア、タイなど中華系住民の住む地域に共通して見る事が出来る料理である。その知名度から世界各地の中華街で看板メニューになっており、日本の北京料理店でも提供する店がある。また、真空包装や冷凍技術の発達により、中国で焼かれた北京ダックが各国に輸出されている。

2014年2月17日月曜日

回鍋肉

回鍋肉(ホイコーロー)は、中国料理・四川料理のひとつ。

[概要]
回鍋とは、鍋を回す(あおり炒めや鍋返しをする)ことではなく、一度調理した食材を再び鍋に戻して調理することの意。

[中国では]
中国本国における四川料理の回鍋肉は皮付きの豚肉の塊を茹でるか蒸してから使用し、野菜には蒜苗(ソンミョウ葉ニンニク、ニンニクの芽)を使う。味付けも豆板醤を多用した辛味の強いものである。

[日本では]
四川省出身の中華料理人、陳建民が回鍋肉を日本へ広めた際に蒜苗がキャベツに取って代わられ、それが日本での標準となった。本場のものに比べ、甜麺醤を多めに使った甘辛い味なのも特徴である。また、手間を省くために最初から薄切り豚肉を使うレシピも考案された。市販の合わせ調味料を使って家庭料理として作る際には、そちらが著名なものとなっている。