2014年2月18日火曜日

北京ダック

北京ダック(ペキンダック。北京烤鴨、ベイジンカオヤー)は、下処理したアヒルを丸ごと炉で焼く料理。北京料理の代表料理のひとつ。香港では「北京填鴨、パッケンティンアーッ」、台湾では「北平烤鴨、ペイピンカオヤー」とも呼ばれる。

[概要]
炉(窯)の中でパリパリに焼いたアヒルの皮を削ぎ切りにし、小麦粉を焼いて作った「薄餅」(バオビン)または「荷葉餅」(ホーイエビン)と呼ばれる皮に、ネギ、キュウリや甜麺醤と共に包んで食べる料理である。皮だけを薄く削ぐ店と、ある程度肉も付けて切る店がある。

北京市内の専門店では、「一匹」「半匹」といった単位で北京ダックを注文し、併せて前菜、スープ、揚げ物などのアヒル料理をメニューの中から選ぶ。コース料理の場合は、残った肉の部位は肉料理に加工して食べる。骨のがらは白濁した「鴨湯」(ヤータン)と呼ばれるスープを作るのに用い、アヒルの舌が鴨湯の具材にされることもある。通常は皮、肉、骨の三点セットだが、水かき(鴨掌、ヤージャン)は茹でて辛子和えにし、肝臓は素揚げにして供される。このように、無駄なくアヒルの様々な部位を使用した料理のフルコースを「全鴨席」(チュアンヤーシー)という。

[歴史]
中国においてはアヒルを直火で焼いた料理を烤鴨(カオヤー)、焼鴨(シャオヤー)という。烤鴨の歴史は北宋時代にまで遡り、明代の小説『金瓶梅』にはしばしば焼鴨の名前が登場する。烤鴨の起源について、殷の宰相伊尹が湯王に献上した白鳥の炙り焼きを烤鴨の元とする俗説が存在する。
15世紀に明の永楽帝がアヒル料理の盛んな南京から北京に遷都した際に原型となる「叉焼烤鴨」が伝えられ、宮廷料理に採用された。このため、南京の別称である「金陵」を冠した「金陵叉焼鴨」とも呼ばれた。また、山東発祥説も存在する。
金陵叉焼鴨は固いアヒルの肉を柔らかくするために一度下煮をし、その後肉に大きなさすまた(大叉)を刺して少しの時間火で炙る料理であり、現在の北京ダックとは様子が異なっていた。金陵叉焼鴨が北京に伝えられた時、香ばしさと肉の柔らかさを追及するため、調理法に北方遊牧民の食文化の特色である「炙り焼き」の技術が加えられる。

現在は、中国に限らず、香港、台湾、シンガポール、マレーシア、タイなど中華系住民の住む地域に共通して見る事が出来る料理である。その知名度から世界各地の中華街で看板メニューになっており、日本の北京料理店でも提供する店がある。また、真空包装や冷凍技術の発達により、中国で焼かれた北京ダックが各国に輸出されている。

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